東京大学地球惑星科学専攻入試体験記(得点開示あり)
はじめに
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻(以下地惑)に外部から合格しました。私はかなり出来の悪い受験生でしたが、この体験記が今後受験されるみなさまにとって、少しでも役に立つものになれば幸いです。なおこの記事は予め専攻HPで公式に発表されている試験内容については大体把握していることを前提に書いています。
試験内容
数学、物理、化学、生物、地球科学から2科目を選択して120分間で解答する形式。解答する科目はその場で問題を見て決めてよいのですが、志望する教員によっては受験要望科目を設定している場合があります。地惑では合格後に指導教員を選んで決定しますが、その際に教員が指定している科目を受験していないと、指導教員になってもらえないというシステムです。詳しいことは専攻HPを参照してください。
私は志望する教員が数学と物理を指定していたため、この2科目を選択しました。各科目の出題範囲に関しては専攻HPに詳しくまとめられたPDFが掲載されています。
勉強法
例によって勉強法に関しては過去記事を参照して下さい。複雑理工の時と同じく、ここでは過去問について記述します。
解答に関しては研究室訪問の際に院生の方に頼んだらもらえると思います。訪問の際に、先生のほうから学生に話を聞く機会を設けてくださることもありますし、そうでなければ「院生室を見せてください」とか「院生の方にお会いしたい」と伝えれば、快く対応してくださるはずです。外部生の研究室訪問の重要な目的の一つが過去問入手なので頑張りましょう!私は20年分ほどの問題と解答を手に入れることができたので非常に助かりました。
遠方にいらっしゃる関係で研究室訪問を直接行うのが難しい方もいらっしゃると思うので、ネット上で過去問や解答を手に入れる方法もいくつかご紹介します。
まず過去問に関してですが、専攻HPに5年分掲載されています。それとは別に専攻の旧サイトに行けば、もう少し前の年度の過去問も手に入ります。現サイトの一番上のバーからアクセスできるようになっています。
解答に関してはこちらのサイトから購入できます。texなので見やすいです。
あとメルカリで出品している方もいらっしゃるので連絡を取ってみるといいかもしれません。
試験の様子
筆記試験
当日の受験番号の掲示からすると120名ほど出願していたようです。欠席者もちらほらいました(聞いた話によると京大や東工大の人が滑り止めで出願するが、結局受けないケースがあるんだとか)。理学部1号館で受験しました。
英語
午前中にTOEFL-ITPの試験がありました。(自分の感覚では)8割~8割中盤ぐらいは得点できたかなという感じでした(後ほど大きな勘違いであったことが発覚するのですが)。リスニングは会場で集中音源を用いて放送されますので、家で練習する際にはイヤホンは使わないほうがいいです。音の聞こえ方が全然違います。
専門科目
午後に専門科目の試験がありました。当日は数学→物理の順で解きました。
数学:
第1問
微積の小問集合。ライプニッツの微分公式を覚えていなかったために小問を一つとりこぼしたものの他は何とかした気がします。
第2問
線形代数。ほんとにわからなくて焦りました。対角化や固有値の計算問題だけやって撤退しました。
物理:
第3問
熱力学。一番解きやすそうだったので最初に取り組みました。典型的なピストンの問題で簡単だった(はず)。一応最後まで解き切った。
第2問
電磁気。荷電粒子の運動が出題された。粒子の運動方程式からエネルギー積分を用いて運動エネルギーを導出する問題があったが、10年以上前の地惑でほぼ同様の考え方を用いる問題が出題されていたため解くことができた。過去問大事。7割ほど解いて撤退。
第1問
力学。滑車にばねとおもりがついた糸がかかっているなんとも気持ち悪い問題。残り20分もなかったので急いで解いたが、(多分)慣性力が生じていることになぜか気づかず爆死。(1)しか点数をもらえていない気がする。
口述試験
正直かなり筆記がビミョーな出来だったので気が気でなかったですが、一週間後の口述試験対象者発表にて自分の番号を発見。2つの講座の面接に呼ばれたのでそれぞれ別の時間に受験しました(講座の制度については専攻HPを参照してください)。対策が当たったので、うまく切り抜けられたと思います。
受験した講座と面接の内容については身バレが怖いので書けませんが、事前に提出した小論文の内容、卒論の内容、志望分野の基礎知識、修士卒業後のキャリアについてはすらすらいえるようにしておくといいと思います。地惑の面接は圧迫という感じではなく、学生の興味分野と研究室のマッチングのためにやっている感が強いので、肩の力を抜いて思いのたけを話せば大丈夫のはずです。
面接から三週間後に合格発表がありました。すでに複雑理工に合格した後だったこともあり、前ほどの緊張はありませんでしたが、それでも第一志望ということで落ち着かなかったですね。定刻を少し過ぎたあたりで理学系研究科HPにPDFがアップされ、自分の番号を発見しました。後日郵送されてきた合格通知書にて2つの講座両方から合格を頂いたことも確認できました。人生最後の受験を全勝という結果で終わることができ、本当にうれしかったです。
得点開示
公式情報ではないですが専門科目は1科目200点×2=400点満点、英語は100満点だといわれているようです(先輩から聞いただけなので定かではありません)。大体5割ぐらい取れると合格できると聞いていたのですが、だいぶギリギリでしたね。専門はまあこんなもんだろうという感じですが、英語が恐ろしく低くてびっくりしました。ITPの素点に直すと大体450/677といった感じでしょうか。大学で練習で受けた時には悪くても500を切ることはなかったので大失敗ですね。唯一の得意科目だったのにどうしたのやら...。
まとめ
私の基礎学力があまりにも低かったために大苦戦の受験となりましたが、地惑の問題は基本的な公式の運用能力を問うものが多く、努力が得点に結びつきやすい入試になっています。内部生の二倍近くの定員が設けられていることもあり、外部生でも挑戦しやすい専攻なので、少しでも地球惑星科学に興味がある方は受験を検討してみてください。
東京大学複雑理工学専攻入試体験記(得点開示あり)
はじめに
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻入学試験に合格しました。コロナの影響で試験内容が変わったため、これから受験される方にとって役に立つかはわかりませんが、ぼちぼち書いていこうと思います。
試験内容
第一段階:書類選考
(1)学部時代に自分で勉強したこと+(2)複雑理工でやりたい研究内容・計画について(日本語の場合は)3000字程度で記述し専用サイトにアップロードするというもの。私の場合は学部の実験の授業をきっかけに大学院でやりたい分野を選んだので、
(1)実験の内容と考察について。それが大学院でやりたい研究内容に興味を持つのにどうつながったのか(1500文字程度)
(2)複雑理工の志望研究室のテーマの中で、興味があるものについて(1000文字程度)
といった感じで書きました。(1)でやりたい研究内容につながること、(2)で行きたい研究室のことについて書けば、論理展開がスムーズかと判断した次第です(もちろん個人の考えですから正しいかは保証できませんが)。
第二段階:筆記試験
英語(TOEFL-iBT)と専門基礎科目から構成されます。専門科目はコロナの影響で、自宅にてzoom経由で監視されながら受験しました。問題は計3問で、各大門ごとに40分間で解く→15分休憩→また40分解くという感じの流れです。休憩が終わるごとに、本人確認と部屋のチェックがありました。問題内容は次の通り。
問題1 微積
問題2 線形 or 力学の選択
問題3 解析学(フーリエ、複素関数、ラプラス)or 確率 or 電磁気の選択
第3段階:口述試験
筆記試験通過者のみが受けられます。時間は6分となっています。
勉強法
各科目の勉強法については過去記事をご参照ください。この記事では過去問についてちょっと追記します。
どんな大学院の入試対策でもカギとなる過去問。専攻HPに行けば過去5年分手に入りますし、研究室訪問で先輩にもらったり、ネットをあさればもっと手に入るかもしれません。私は計10年分手に入ったのですべて取り組みました。しかしコロナ後から傾向ががらりと変わったので過去問をさかのぼるのは得策ではないかもしれません。あと解答に関してはネットでいくつかのサイトを参照しながら作成しました。それぞれ間違っているものもあるので、複数のソースを参照しながら補完していくのがベストな気がします。私が参照させていただいていたサイトをいくつかご紹介します。
試験の様子
筆記試験
癖のない問題が多い微積、線形、解析学を選択するつもりでした。そのため複雑理工の直前一週間前はいったん物理はお休みして、数学にすべての時間を注いでいました。しかし...
第1問
微積の小門集合。最初の一階の微分方程式で、計算途中で積分定数をつけ忘れて計算がすべて狂うという大惨事を起こしてしまう。試験中に気づいて修正したが時間を大幅に食う。そのあとも計算ミスをやらかしたりで失点。6割程度の手ごたえ。
第2問
ばきばきの集合論っぽい問題が出て無事に死亡。恐る恐る力学を見てみると回転の方程式を解けばいけそうだったので、何とか答案を埋める。4~5割程度の手ごたえ。
第3問
解析学をやってみるも全く分からず。確率はそもそも統計学が苦手で手を付けられず。唯一電磁気だけは手を付けられそうだったが、複雑理工を数学のみで受験することを考えていたことで物理の対策が直前は手薄だった + そもそも物理苦手 というコンボが発動し爆死。まあ解析学を解くよりはましだったのかな...。2~3割ぐらいとれた気がする。
口述試験
筆記試験のあまりの不出来さに絶望し、あきらめていましたが、4日後の筆記試験合格発表にて自分の番号を発見し狂喜乱舞。面接が地惑の筆記試験の前日だったこともあり、あまり対策に時間は割けませんでしたが、小論文の見直しと卒論の内容の確認を少しだけやって面接に臨みました。研究室がばれるので内容は詳しく書けませんが、筆記試験に出ていた問題に関わる公式の理解についてや、専門分野に関しての口頭試問が行われ、無事爆死しました。かなりテンパっていたことで、普段なら当たり前に答えられる知識についても吹き飛んでしまい、詰みました。正直先生方にあきれられていたのではないかと思っています...。
合格発表
面接の2週間後の9月上旬に合格発表がありました。筆記と面接の出来からもうないものと思っていましたが、なぜか自分の番号を発見し大喜びしました。ちなみに各段階における合格者の推移はこんな感じでした。
書類選考:受験者83?→65?名合格
筆記試験:受験者65?→50?名合格
最終合格者:39名
正確に数を数えていたわけではないですが、掲示板の文字列の変化からして大体こんなもんだと思います。
得点開示
筆記半分ないんだが...。コロナ前の得点開示の形式によると専門300英語100だったようなので、私の場合TOEFL iBT 77/120 → 65/100に圧縮、専門120/300、計185/400であったと考えるのが妥当でしょう。あまりにも数物が悪いので恥ずかしいです。
あと驚きだったのは書類にそれなりのウエイトがあるということでしょうか。足きりぐらいだろうと提出前には思っていましたが、実際は書類選考不合格者がそれなりにいたりとか、配点が100点もあるとかで結構重要です。
なんだかんだ合計を計算すると329/600(約55%)ということで、一般的な院試の最低ラインぐらいには達していたということでしょうか。
まとめ
結構勉強したつもりだったのですが、不甲斐ない結果となってしまいました。先輩のお話やネットの情報を見た感じ、研究室によって難易度が大きく変わる専攻のようなので、たまたま志望研究室には私より点数が高い受験者が少なかったことに救われたのだと思います。情報系など人気の研究室を志望する方はこれでは合格は厳しいと思うのでもっと勉強しましょう。
院試勉強について(英語編)
【各種英語試験の情報】
詳しくは専攻のサイトなどで確認してもらえればと思いますがざっとまとめると
TOEFL ITP :
リーディング、ストラクチャー(文法)、リーディングの3パートからなります。他の英語試験と異なり、院試当日に会場で実施されたスコアのみが有効になります。私は東大地惑で使用しました。団体受験しかできないので、個人で申し込んで受験することはできないです。ちなみに大学生協経由で申し込みをできる場合があり、院試のスコアとして使うことはできませんがいい練習になると思うので、所属大学に確認してみるといいでしょう(私の大学ではやっていたので院試前に4回ほど受験しました)。
TOEFL iBT :
リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能試験。テストセンターのPCで受験することが出来ます。ITPと異なり個人で申し込んで受験でき、専攻によって定められた期日までなら何回でも受験することが出来ます。ただし受験料が$245とただでさえ高額なのに、昨今の円安でさらに経済的負担が重くなっているのと、ETSから直送されるスコアレポートが届くのにかなりの日数を要するなどめんどくさいところがあったりするので注意。私は東大複雑理工で使用しました。
リーディング、リスニングの2技能試験。東大以外の多くの理系大学院ではTOEICが使用可能で、かつTOEFLに比べて難易度が低いので、できる限りTOEICでの受験をお勧めします。受験料もiBTより安価で、期日までに何回でも受けることができます。私は自大の受験で使用しました。
【私の基礎学力について】
英語は私にとって唯一の得意科目でした(当社比)。まあ帰国子女でもないし、留学経験もないのでずば抜けてできたわけではありませんが。私の各種試験のスコアは以下の通りです。
TOEFL ITP : 547(L:57/68 S:50/68 R:57/67)
TOEFL iBT : 77 (L:21/30 R:18/30 S:18/30 W:20/30)
TOEIC : 800(R:400/495 L:400/495)
※ITPのSはStructure(文法)、iBTのSはSpeakingです。
※ITPは私の大学で実施していたのを練習がてら受けました。地惑本番の点数ではありません。
【私の英語の勉強について】
英語に関しては数物と異なり継続的に勉強したというよりは、各種試験の前に詰め込んだ感じなので、今までのように時系列順に勉強内容を書くのではなく、各種試験ごとに対策した内容を書き連ねていく感じにします。あと大学受験の時にかなり単語力がついていたことと、演習する中で単語の知識不足が原因で落とすことがほとんどなかったため、院試勉強で単語帳・熟語帳はほとんどやっていないです。
TOEFL ITP
やってよかった参考書
「TOEFL ITP(R)テスト 公式テスト問題&学習ガイド」
公式問題集なので、最低限これだけは取り組んでおくべきでしょう。
「全問正解するTOEFL ITP TEST文法問題対策」
多くのITP対策のサイトでお勧めされている名著。ITPの文法パートはこれの著者のいう通りかなりパターンが決まっているので、これを3週ぐらいすればほとんどの問題に対応できるようになりました。パワフルコードというITPでよく問われるテーマ集みたいなのを中心に学ぶ形式なので、間違えやすいコードを把握して、他のITP形式の模試を解く際に意識しながら実践していきました。
「完全攻略!TOEFL ITP(R)テスト 模試4回分」
文法が本番より少し簡単な気がしますが、うまく本物の傾向を捉えている良書だと思います。特にリーディングの設問は本物の雰囲気を再現できていて、よく研究されていると感じました。4回分収録ということで、他社のものよりも多く、コスパがいいのも魅力です。
「TOEFL ITPテストリスニング問題攻略」
リスニングが苦手だったのでこれで対策しました。問題量も多く、スピードも本番のものを再現できていて非常に良かったです。これでリスニングは8割ぐらい取れるようになりました。
私にはあわなかった参考書
・TOEFL ITP(R)テストリーディングスピードマスター
6回分相当のリーディングが収録されているのは演習量の面で魅力的でした。ただ設問の質があまりよくなかったと感じました。例えばTOEFLの頻出問題として、同義語を答えさせる問題があります。これは文章中に下線が引かれている単語は難単語でも、選択肢の単語は比較的平易なことが多いです。かつ下線部の単語の意味は文脈で十分予測できます。にも拘わらず、この参考書の問題は、難単語の意味を知らないと答えられない問題であったり、選択肢の単語の方が難しいことがよくあり、ちょっと問題の研究が足りてない気がしました。
・TOEFL ITP リスニング完全攻略
設問と正解の選択肢のつじつまが合わない問題がちょくちょくあり、イライラしたので途中でやめました。問題数はずば抜けて多いので、演習にはなるのでしょうが、リスニング対策にはこれではなく旺文社のものをお勧めしたいです。
TOEFL iBT
やってよかった参考書
「TOEFL iBTテスト本番模試」
本番っぽい難易度だったと思います。あと書籍に載っている旺文社のサイトのURLにアクセスすると、実際のTOEFLと同じような形式で解答できるのも魅力でした(テストセンターで受けるときとほぼ同じ画面が再現されている)。
「TOEFL IBTテスト必修フレーズ100」
大学入試英語の自由英作文対策で例文暗記をした人も多いと思うのですが、それのTOEFL版です。正直この本をお勧めできるかは、例文暗記に対してのスタンスによる気がしますが、私は肯定派なので重宝しました。本番のライティングやスピーキングでもこの本のフレーズを実際に使う機会があり、活かすことができていたと思います
私にはあわなかった参考書
TOEFLテストリーディング問題270
リーディングの設問数・設定時間が「本番形式の練習」というパートでも本番と異なっている、設問の傾向がそもそも本番と違う、などTOEFL対策というか普通のリーディングの参考書という感じになっている気がします。
※やっておいた方がよかった参考書
「公式問題集」
いや高いって...。やりたかったけど買えませんでした。
TOEIC
特に参考書選びをミスらなかったので、そのままやったやつを書いていきます。
「公式問題集7」
ETSから公式に出版されている問題集です。今ではもっと新しい版のものが出ているようですが、当時はこれが最新だったのでやりました。とりあえずこれをやってみて、自分がどこのパートを苦手としているか把握してみるのが先決ですね。ちなみに私のスコアの記録が残っていて、
L:91/100
R:72/100
という感じだったので、リーディング対策に集中し、失点が多かった文法とトリプルパッセージ対策を重点的に行うという方針を立てました。
「TOEIC 特急シリーズ」
書店のTOEICコーナーでよく見る、新書サイズのTOEIC対策本です。以上の2つをやりました。かなりTOEICのパートを細分化して、各分野に対して対策本が出ているシリーズなので、こんな感じでピンポイントで選んで取り組んでみるのがいいと思います。手ごろなサイズで電車の中とかでやりやすかったのでお勧めです。
院試勉強について(物理編)
【私の基礎学力】
数学に負けず劣らずのヤバさでした。力学、電磁気は学部の2年あたりに履修はしていたものの、某感染症のおかげでテストがなかったためにネットや参考書で調べながらレポートを解けば高評価が来るという感じで何も身についていませんでした。熱力は確か授業がなかった気がします。というわけでこちらも高校生と何ら変わらない学力のまま。過去問を最初に見たときも「慣性モーメントってなんやねん」って感じで全然できませんでした。
【傾向】
物理はほぼ地惑のために勉強していたので、複雑理工のことは割愛します(まあ複雑理工本番では数学が全然わからず急遽物理を解くことになったのですが...)。一応ですが演習のために(コロナ前の)複雑理工の力学には取り組んでいて、ちょうどいい難易度の問題だったので、余裕がある方には演習としてお勧めです。
地惑物理
・力学・電磁気・熱力学から一題ずつ出題される。かつては選択式だったが、2023年からは全問必答になったので、すべての範囲を勉強する必要がある
・剛体の力学が頻出
・熱力は熱力学的関係式が頻出。他の大問と比べ計算量が少なく、パターンが決まっているため得点源になりやすい
・電磁気はかつては頻出のテーマに沿った標準的な問題が中心であったが、ここ数年で急激に難易度が増している
量子力学、統計力学などの難しい物理学が範囲から除外されていることもあり、物理学専攻や天文学専攻に比べれば、解きやすい問題だと言えるでしょう。ただそうはいっても、まじめに解こうとすると特に力学・電磁気あたりで重い計算に出くわして苦戦することもしばしばありました。
【私の物理の勉強について】
学部3年12月
・過去問
数学と同じく2020年度の問題を解いてみました。例によって全然解けず。後になって思ったことなのですが、2020年の地惑は他の年度と比べてクセがない標準的な問題なので、こういった腕試しに使うのはアリだと感じました。
学部3年2月下旬~3月
年末から年明けの期間は数学をやるのに精いっぱいで物理は全然できてなかった気がします。ようやくここら辺から基礎固めを始めることができました。
・マセマ
数学と同様にマセマにお世話になっていました。あまり覚えていないのですが、ちょくちょく演習のために同時に過去問もやっていた気がします。
学部4年4月~入試本番
・電磁気学演習
電磁気の理解がマセマだけだとどうしても進まなかったので、演習量を増やすために使いました。
・マセマ
3月にやっていたマセマの復習はずっとやっていました。振動波動は確か直前の7月あたりに始めた気がします(専攻公式の試験範囲のpdfで振動波動論も一応言及されている)。苦手だった連成振動のところを徹底的にやりました。そもそも力学・電磁気のマセマとの共通問題が多い書籍だったので他のところはやっていません。地惑には出題されませんでいたが、今年の複雑理工の力学が二重振り子の問題をロンスキアンを使って解く問題だったので、結果的に役に立ちました。
・過去問
このあたりから本腰を入れて過去問に取りくみはじめました。当初は10年分くらいやるつもりでしたが、6月初頭ぐらいに研究室訪問で20年分ぐらいの解答が手に入ったので、すべてやりました。取り組み方としては数学のところでご紹介したのと同様に、A4のノートに問題を縮小印刷して貼り付けて、余白に解法を書いて問題集を作っていました。
物理に関しては、数学と違って他専攻の過去問にはそんなに手を出しませんでした。(冒頭で述べた通りちょっと複雑理工をやったぐらい)。地惑が剛体の力学を極端に好むことや、全体として大学物理というよりは高校物理臭い問題が多く、地惑以外の問題演習の有効性が低いと判断したからです。
また20年分解いていて思ったのですが、過去問の問題の解法がその後の年度の問題を解くのに役に立つケースが非常に多いです。実際、私が今年(R5)に解いた電磁気はH24の電磁気の解法を知っていると圧倒的に有利な問題でした。同様のことがその他の年度でもあったので、地惑を受験される方には、何とかして多くの年度の問題と解答を手に入れて、過去問の解き方を徹底的に叩き込むことをお勧めします。
とまあ数学同様書き散らしていきました。次回は唯一の得意科目の英語の話をしようと思います。ではでは
院試勉強について(数学編)
【はじめに】
こんにちは。院試対策としてやってきたことについて記事にしてこのブログを終了するという話を前回させていただきました。合格から日がたってくると書く気がなくなってくる可能性大なので早めに文字化していこうと思います。
はじめに注意ですが、私はあまり理系科目が得意ではありませんし、得点開示はまだですが、試験の成績もよろしくないと思われます。あくまでもお手本ではなく一例としてこれからの駄文を読んでいただければと思います。
【私の基礎学力】
院試の受験を決意した学部3年12月時点での学力は正直お話にならないレベルでした。理系の学科にはいたものの、たまたま私の専門は数学と物理とは縁のない学問だったのと、サークル命の学生生活だったため、学力的には高校生に毛が生えた程度といったところでしょうか。線形代数の大問を見ても固有値の求め方しかわからない、対角化の計算も全くできなかった、といえばどれだけヤバかったか伝わるでしょう。
【問題傾向について(あくまで個人の考えです)】
1.地惑
・第一問で公式をそのまま代入すれば出るような、いくつかの分野の小問集合みたいなのがでる
・第二問はある特定の分野に関して、小問を経るごとに難しくなっていくよくある大問 形式の問題が出題される
過去20年余りの問題を見ていく中で、線形、微積、確率、複素関数の出題率が高いと判断し、これらを重点的に対策しました。
2.複雑理工
・オンライン形式のやつは初めからどこの大問で何を出すかが専攻HPで予告されているのでそっち参照。オフラインの時は微積・線形・フーリエ・確率・力学・電磁気・熱力・量子力学が各大問で出題されていた。
・ぶっちゃけ地惑より難しい気がする
・線形代数でベクトル空間が出題されるのが特徴的
必答の微積以外は、線形、解析学(ほぼフーリエ)を選択するのがメジャーだと聞きます。ただ10年分やってみて、年によって大問ごとの難易度にかなり差があるように感じるので、本当に合格を狙うなら幅広く対策しとくのがいい気がします。今年は線形代数でまさかの写像が出る、解析学がめっちゃ難しい(思ったの私だけかも)といった感じだったのに対し、物理の方がオーソドックスで解きやすかったです(個人の感想)。
【私の数学の勉強について】
学部3年12月~学部4年4月
・過去問
最初に2020年度の数学をいまぎしさんという方がネットで販売している解答を参考にしながら解いてみました。もちろん爆死しましたが、公式を抑えるだけでも地惑の問題はかなり解けるようになることに気づきました。多くの院試勉強のサイトでも言われていることですが、解けなくても志望専攻の過去問に目を通すことは重要だと実感しました。
・マセマ
私のような数弱にとってはバイブルではないでしょうか。実は高校の授業の進度が遅かったため、高校時代も数学をマセマで独学しており、その時の信頼もあって大学でもお世話になりました。シリーズのうち取り組んだのは以下の通り
・線形代数
・確率統計
・常微分方程式 ☜二階線形までやった。高階より先はやってない
・偏微分方程式 ☜そんなにやってない
・複素関数
・ベクトル解析 ☜そんなにやってない
※赤字はやりこんだもの
分かりにくい書き方になってしまったかもですが、分野によって取り組み方にはグラデーションがありました。
学部4年5月~学部4年7月上旬
・過去問
東大地惑21年分(H14~R4)、東大複雑理工10年分(R4~H25)をゲットした解答を参考にしながら解き進めていました。その際にA4のキャンパスノートを購入して、問題を4分の1サイズにしてA4に印刷して貼り付け、余白に解答を書いて、手製「東大の数学30か年」を作ってました。今どきの院試解答はデータのものが主流だと思うのですが、いちいち問題を解くためにパソコンを持ち歩いてフォルダから該当の年度の解答を探すのは面倒なのと、どうしても非公式の解答には間違いがつきものなので、自分なりに修正したものを保存しておきやすい、という点からこの方式を採用していました。各自でやりやすい方法を実践していけるといいのではないでしょうか。
当然、作って終わりなはずはなく、この期間でこのノートの問題を2~3周程度して解けるようにしていきました。
複雑理工の問題は、線形代数が少し特殊な気がしますが、オーソドックスな問題が多く、マセマで勉強をしたことを活かす練習に最適だと思います。地惑志望者で時間に余裕がある方は、演習がてら取り組んでみるといいと思います。
また取りくんだ年度が多かったことで、いつどこをやったのか忘れがちだったので、こんな感じにまとめて進捗管理をしていました。
・マセマ
過去問に取りくんでみると、マセマでやったのに忘れていたこと、マセマで扱っていたことを実戦ではどのように使えるのか、といったことに気づけました。そのため過去問演習の合間にちょくちょく戻って確認していました。大学で全くやったことのなかったラプラス変換や複素関数論はすぐに公式が抜け落ちてしまい、マセマを何周もする羽目になったのはいい思い出です(笑)。
【学部4年7月下旬~入試本番まで】
そろそろ過去問の解答も暗記してきてしまい、無双できるようになっていました。そのため形式慣れのために過去問の周回もしつつ、初見の問題に取り組むことも増えてきました。
・他専攻の過去問
東大天文学専攻、東大先端エネルギー工学専攻の過去問を用いて、初見問題に対する対応力を鍛えていました。特に東大天文は同じ理学系研究科ということもあり、地惑と同等か一個上の難易度の、傾向が似通った数学を出題しており、地惑志望者の演習には非常にお勧めです。
・「解法と演習 工学・理学系大学院入試問題」
まさかのこの時期に問題集投入。ですが地惑志望者には非常にお勧めの本です。数学のパートしか取り組んでいないのですが、東大地惑・天文からの問題の引用が多いこともあって、地惑っぽい難易度の問題がそろっています。苦手だった複素関数論はすべての問題をやり、微積・線形・特殊関数を半分くらいやった気がします。こんな感じで苦手分野・演習不足の分野に関して辞書的に使っていくのがおすすめです。
といった感じで書き連ねてきましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。繰り返しになりますが、あくまでサンプルの一つにすぎませんのであしからず。次回は物理について書いていこうかと思います。ではでは
受験結果
本日の13時に発表があり、東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻に合格することができました!
いやあつらかった!!!
それほど高倍率の専攻ではないとはいえ、元の基礎学力の低さゆえに合格できるか本当に不安でしたし、苦労しました。でもこうして第一志望校に合格できたことが本当にうれしいです。
たかが院試、かもしれませんがこうして人生最後の受験を最高の形で終えられたことをかみしめながら、これから2年間研究に励みたいと思います。
あ、その前に卒論か(笑)。
というわけで私の東大地球惑星科学専攻への坂登りは無事に終わりました。今後は地惑、複雑理工対策に関して私がやったことと、書ける範囲で地惑を受験される外部生が知りたそうな情報を書き連ねていき、このブログは終了とさせていただきます。残り少ないですが、もうしばらく私の駄文にお付き合いください。ではでは
東大複雑理工学専攻に合格しました
タイトルの通り、先日複雑理工学専攻の合格発表があり、何とか合格することができました。
筆記、口述試験共に手ごたえがなく、絶望的だと思っていましたが、こうして合格を勝ち取ることができてうれしいです。
これでひとまず、進学先は東大に確定しました。第一志望の地惑の発表はまだ先ですが、これで気楽に待つことができそうです。
で、このブログの今後の方針ですが、地惑の合格発表後にでも身バレしない程度に各専攻の勉強方法についてまとめておこうかと思います。自分のような外部生にとっては院試の情報は貴重なもののように思いますし、多少は有益な情報を提供できる気がします。ロンダではありますが、一応外部院に合格したということで、ある程度の保証はついた気がしますしね(笑)。複雑理工、地惑共に100名程度が受験する専攻ですし、需要はあるんじゃないでしょうか。
とりあえず今日はこんな感じで。次は地惑の合格発表の時にでも更新します。ではでは