東大地球惑星科学専攻への坂登り

東大地球惑星科学専攻に合格しました。これから受験される方にとって、この記録が有意義なものとなればと思います。

院試勉強について(数学編)

【はじめに】

 こんにちは。院試対策としてやってきたことについて記事にしてこのブログを終了するという話を前回させていただきました。合格から日がたってくると書く気がなくなってくる可能性大なので早めに文字化していこうと思います。

 はじめに注意ですが、私はあまり理系科目が得意ではありませんし、得点開示はまだですが、試験の成績もよろしくないと思われます。あくまでもお手本ではなく一例としてこれからの駄文を読んでいただければと思います。

 

【私の基礎学力】

 院試の受験を決意した学部3年12月時点での学力は正直お話にならないレベルでした。理系の学科にはいたものの、たまたま私の専門は数学と物理とは縁のない学問だったのと、サークル命の学生生活だったため、学力的には高校生に毛が生えた程度といったところでしょうか。線形代数の大問を見ても固有値の求め方しかわからない、対角化の計算も全くできなかった、といえばどれだけヤバかったか伝わるでしょう。

 

【問題傾向について(あくまで個人の考えです)】

1.地惑

・第一問で公式をそのまま代入すれば出るような、いくつかの分野の小問集合みたいなのがでる

・第二問はある特定の分野に関して、小問を経るごとに難しくなっていくよくある大問 形式の問題が出題される

 

 過去20年余りの問題を見ていく中で、線形微積確率複素関数の出題率が高いと判断し、これらを重点的に対策しました。

 

2.複雑理工

・オンライン形式のやつは初めからどこの大問で何を出すかが専攻HPで予告されているのでそっち参照。オフラインの時は微積・線形・フーリエ・確率・力学・電磁気・熱力・量子力学が各大問で出題されていた。

・ぶっちゃけ地惑より難しい気がする

線形代数でベクトル空間が出題されるのが特徴的

 

 必答の微積以外は、線形、解析学(ほぼフーリエ)を選択するのがメジャーだと聞きます。ただ10年分やってみて、年によって大問ごとの難易度にかなり差があるように感じるので、本当に合格を狙うなら幅広く対策しとくのがいい気がします。今年は線形代数でまさかの写像が出る、解析学がめっちゃ難しい(思ったの私だけかも)といった感じだったのに対し、物理の方がオーソドックスで解きやすかったです(個人の感想)。

 

【私の数学の勉強について】

学部3年12月~学部4年4月

・過去問

 最初に2020年度の数学をいまぎしさんという方がネットで販売している解答を参考にしながら解いてみました。もちろん爆死しましたが、公式を抑えるだけでも地惑の問題はかなり解けるようになることに気づきました。多くの院試勉強のサイトでも言われていることですが、解けなくても志望専攻の過去問に目を通すことは重要だと実感しました。

・マセマ

 私のような数弱にとってはバイブルではないでしょうか。実は高校の授業の進度が遅かったため、高校時代も数学をマセマで独学しており、その時の信頼もあって大学でもお世話になりました。シリーズのうち取り組んだのは以下の通り

 

微分積分

線形代数

・確率統計

常微分方程式 ☜二階線形までやった。高階より先はやってない

偏微分方程式 ☜そんなにやってない

複素関数

・ベクトル解析 ☜そんなにやってない

フーリエ解析

ラプラス変換

 

※赤字はやりこんだもの

 

分かりにくい書き方になってしまったかもですが、分野によって取り組み方にはグラデーションがありました。

 

学部4年5月~学部4年7月上旬

・過去問

 東大地惑21年分(H14~R4)、東大複雑理工10年分(R4~H25)をゲットした解答を参考にしながら解き進めていました。その際にA4のキャンパスノートを購入して、問題を4分の1サイズにしてA4に印刷して貼り付け、余白に解答を書いて、手製「東大の数学30か年」を作ってました。今どきの院試解答はデータのものが主流だと思うのですが、いちいち問題を解くためにパソコンを持ち歩いてフォルダから該当の年度の解答を探すのは面倒なのと、どうしても非公式の解答には間違いがつきものなので、自分なりに修正したものを保存しておきやすい、という点からこの方式を採用していました。各自でやりやすい方法を実践していけるといいのではないでしょうか。

 

過去問ノートの一例

 当然、作って終わりなはずはなく、この期間でこのノートの問題を2~3周程度して解けるようにしていきました。

 複雑理工の問題は、線形代数が少し特殊な気がしますが、オーソドックスな問題が多く、マセマで勉強をしたことを活かす練習に最適だと思います。地惑志望者で時間に余裕がある方は、演習がてら取り組んでみるといいと思います。

 

 また取りくんだ年度が多かったことで、いつどこをやったのか忘れがちだったので、こんな感じにまとめて進捗管理をしていました。

進捗管理スプレッドシート
・マセマ

 過去問に取りくんでみると、マセマでやったのに忘れていたこと、マセマで扱っていたことを実戦ではどのように使えるのか、といったことに気づけました。そのため過去問演習の合間にちょくちょく戻って確認していました。大学で全くやったことのなかったラプラス変換複素関数論はすぐに公式が抜け落ちてしまい、マセマを何周もする羽目になったのはいい思い出です(笑)。

 

【学部4年7月下旬~入試本番まで】

 そろそろ過去問の解答も暗記してきてしまい、無双できるようになっていました。そのため形式慣れのために過去問の周回もしつつ、初見の問題に取り組むことも増えてきました。

 

・他専攻の過去問

 東大天文学専攻、東大先端エネルギー工学専攻の過去問を用いて、初見問題に対する対応力を鍛えていました。特に東大天文は同じ理学系研究科ということもあり、地惑と同等か一個上の難易度の、傾向が似通った数学を出題しており、地惑志望者の演習には非常にお勧めです。

 

・「解法と演習 工学・理学系大学院入試問題」

 まさかのこの時期に問題集投入。ですが地惑志望者には非常にお勧めの本です。数学のパートしか取り組んでいないのですが、東大地惑・天文からの問題の引用が多いこともあって、地惑っぽい難易度の問題がそろっています。苦手だった複素関数論はすべての問題をやり、微積・線形・特殊関数を半分くらいやった気がします。こんな感じで苦手分野・演習不足の分野に関して辞書的に使っていくのがおすすめです。

 

 

といった感じで書き連ねてきましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。繰り返しになりますが、あくまでサンプルの一つにすぎませんのであしからず。次回は物理について書いていこうかと思います。ではでは