東大地球惑星科学専攻への坂登り

東大地球惑星科学専攻に合格しました。これから受験される方にとって、この記録が有意義なものとなればと思います。

東京大学地球惑星科学専攻入試体験記(得点開示あり)

 

はじめに

 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻(以下地惑)に外部から合格しました。私はかなり出来の悪い受験生でしたが、この体験記が今後受験されるみなさまにとって、少しでも役に立つものになれば幸いです。なおこの記事は予め専攻HPで公式に発表されている試験内容については大体把握していることを前提に書いています。

 

試験内容

 数学、物理、化学、生物、地球科学から2科目を選択して120分間で解答する形式。解答する科目はその場で問題を見て決めてよいのですが、志望する教員によっては受験要望科目を設定している場合があります。地惑では合格後に指導教員を選んで決定しますが、その際に教員が指定している科目を受験していないと、指導教員になってもらえないというシステムです。詳しいことは専攻HPを参照してください。

 私は志望する教員が数学と物理を指定していたため、この2科目を選択しました。各科目の出題範囲に関しては専攻HPに詳しくまとめられたPDFが掲載されています。

 

勉強法

 例によって勉強法に関しては過去記事を参照して下さい。複雑理工の時と同じく、ここでは過去問について記述します。

inshiearth.hatenablog.com

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 解答に関しては研究室訪問の際に院生の方に頼んだらもらえると思います。訪問の際に、先生のほうから学生に話を聞く機会を設けてくださることもありますし、そうでなければ「院生室を見せてください」とか「院生の方にお会いしたい」と伝えれば、快く対応してくださるはずです。外部生の研究室訪問の重要な目的の一つが過去問入手なので頑張りましょう!私は20年分ほどの問題と解答を手に入れることができたので非常に助かりました。

 

 遠方にいらっしゃる関係で研究室訪問を直接行うのが難しい方もいらっしゃると思うので、ネット上で過去問や解答を手に入れる方法もいくつかご紹介します。

 まず過去問に関してですが、専攻HPに5年分掲載されています。それとは別に専攻の旧サイトに行けば、もう少し前の年度の過去問も手に入ります。現サイトの一番上のバーからアクセスできるようになっています。

 解答に関してはこちらのサイトから購入できます。texなので見やすいです。

note.com

あとメルカリで出品している方もいらっしゃるので連絡を取ってみるといいかもしれません。

 

試験の様子

筆記試験

 当日の受験番号の掲示からすると120名ほど出願していたようです。欠席者もちらほらいました(聞いた話によると京大や東工大の人が滑り止めで出願するが、結局受けないケースがあるんだとか)。理学部1号館で受験しました。

 

英語

 午前中にTOEFL-ITPの試験がありました。(自分の感覚では)8割~8割中盤ぐらいは得点できたかなという感じでした(後ほど大きな勘違いであったことが発覚するのですが)。リスニングは会場で集中音源を用いて放送されますので、家で練習する際にはイヤホンは使わないほうがいいです。音の聞こえ方が全然違います。

 

専門科目

 午後に専門科目の試験がありました。当日は数学→物理の順で解きました。

 

数学:

第1問

 微積の小問集合。ライプニッツ微分公式を覚えていなかったために小問を一つとりこぼしたものの他は何とかした気がします。

 

第2問

 線形代数。ほんとにわからなくて焦りました。対角化や固有値の計算問題だけやって撤退しました。

 

物理:

第3問

 熱力学。一番解きやすそうだったので最初に取り組みました。典型的なピストンの問題で簡単だった(はず)。一応最後まで解き切った。

 

第2問

 電磁気。荷電粒子の運動が出題された。粒子の運動方程式からエネルギー積分を用いて運動エネルギーを導出する問題があったが、10年以上前の地惑でほぼ同様の考え方を用いる問題が出題されていたため解くことができた。過去問大事。7割ほど解いて撤退。

 

第1問

 力学。滑車にばねとおもりがついた糸がかかっているなんとも気持ち悪い問題。残り20分もなかったので急いで解いたが、(多分)慣性力が生じていることになぜか気づかず爆死。(1)しか点数をもらえていない気がする。

 

口述試験

 正直かなり筆記がビミョーな出来だったので気が気でなかったですが、一週間後の口述試験対象者発表にて自分の番号を発見。2つの講座の面接に呼ばれたのでそれぞれ別の時間に受験しました(講座の制度については専攻HPを参照してください)。対策が当たったので、うまく切り抜けられたと思います。

 

 受験した講座と面接の内容については身バレが怖いので書けませんが、事前に提出した小論文の内容、卒論の内容、志望分野の基礎知識、修士卒業後のキャリアについてはすらすらいえるようにしておくといいと思います。地惑の面接は圧迫という感じではなく、学生の興味分野と研究室のマッチングのためにやっている感が強いので、肩の力を抜いて思いのたけを話せば大丈夫のはずです。

 

 面接から三週間後に合格発表がありました。すでに複雑理工に合格した後だったこともあり、前ほどの緊張はありませんでしたが、それでも第一志望ということで落ち着かなかったですね。定刻を少し過ぎたあたりで理学系研究科HPにPDFがアップされ、自分の番号を発見しました。後日郵送されてきた合格通知書にて2つの講座両方から合格を頂いたことも確認できました。人生最後の受験を全勝という結果で終わることができ、本当にうれしかったです。

 

得点開示

 公式情報ではないですが専門科目は1科目200点×2=400点満点、英語は100満点だといわれているようです(先輩から聞いただけなので定かではありません)。大体5割ぐらい取れると合格できると聞いていたのですが、だいぶギリギリでしたね。専門はまあこんなもんだろうという感じですが、英語が恐ろしく低くてびっくりしました。ITPの素点に直すと大体450/677といった感じでしょうか。大学で練習で受けた時には悪くても500を切ることはなかったので大失敗ですね。唯一の得意科目だったのにどうしたのやら...。

 

まとめ

 私の基礎学力があまりにも低かったために大苦戦の受験となりましたが、地惑の問題は基本的な公式の運用能力を問うものが多く、努力が得点に結びつきやすい入試になっています。内部生の二倍近くの定員が設けられていることもあり、外部生でも挑戦しやすい専攻なので、少しでも地球惑星科学に興味がある方は受験を検討してみてください。