東京大学複雑理工学専攻入試体験記(得点開示あり)
はじめに
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻入学試験に合格しました。コロナの影響で試験内容が変わったため、これから受験される方にとって役に立つかはわかりませんが、ぼちぼち書いていこうと思います。
試験内容
第一段階:書類選考
(1)学部時代に自分で勉強したこと+(2)複雑理工でやりたい研究内容・計画について(日本語の場合は)3000字程度で記述し専用サイトにアップロードするというもの。私の場合は学部の実験の授業をきっかけに大学院でやりたい分野を選んだので、
(1)実験の内容と考察について。それが大学院でやりたい研究内容に興味を持つのにどうつながったのか(1500文字程度)
(2)複雑理工の志望研究室のテーマの中で、興味があるものについて(1000文字程度)
といった感じで書きました。(1)でやりたい研究内容につながること、(2)で行きたい研究室のことについて書けば、論理展開がスムーズかと判断した次第です(もちろん個人の考えですから正しいかは保証できませんが)。
第二段階:筆記試験
英語(TOEFL-iBT)と専門基礎科目から構成されます。専門科目はコロナの影響で、自宅にてzoom経由で監視されながら受験しました。問題は計3問で、各大門ごとに40分間で解く→15分休憩→また40分解くという感じの流れです。休憩が終わるごとに、本人確認と部屋のチェックがありました。問題内容は次の通り。
問題1 微積
問題2 線形 or 力学の選択
問題3 解析学(フーリエ、複素関数、ラプラス)or 確率 or 電磁気の選択
第3段階:口述試験
筆記試験通過者のみが受けられます。時間は6分となっています。
勉強法
各科目の勉強法については過去記事をご参照ください。この記事では過去問についてちょっと追記します。
どんな大学院の入試対策でもカギとなる過去問。専攻HPに行けば過去5年分手に入りますし、研究室訪問で先輩にもらったり、ネットをあさればもっと手に入るかもしれません。私は計10年分手に入ったのですべて取り組みました。しかしコロナ後から傾向ががらりと変わったので過去問をさかのぼるのは得策ではないかもしれません。あと解答に関してはネットでいくつかのサイトを参照しながら作成しました。それぞれ間違っているものもあるので、複数のソースを参照しながら補完していくのがベストな気がします。私が参照させていただいていたサイトをいくつかご紹介します。
試験の様子
筆記試験
癖のない問題が多い微積、線形、解析学を選択するつもりでした。そのため複雑理工の直前一週間前はいったん物理はお休みして、数学にすべての時間を注いでいました。しかし...
第1問
微積の小門集合。最初の一階の微分方程式で、計算途中で積分定数をつけ忘れて計算がすべて狂うという大惨事を起こしてしまう。試験中に気づいて修正したが時間を大幅に食う。そのあとも計算ミスをやらかしたりで失点。6割程度の手ごたえ。
第2問
ばきばきの集合論っぽい問題が出て無事に死亡。恐る恐る力学を見てみると回転の方程式を解けばいけそうだったので、何とか答案を埋める。4~5割程度の手ごたえ。
第3問
解析学をやってみるも全く分からず。確率はそもそも統計学が苦手で手を付けられず。唯一電磁気だけは手を付けられそうだったが、複雑理工を数学のみで受験することを考えていたことで物理の対策が直前は手薄だった + そもそも物理苦手 というコンボが発動し爆死。まあ解析学を解くよりはましだったのかな...。2~3割ぐらいとれた気がする。
口述試験
筆記試験のあまりの不出来さに絶望し、あきらめていましたが、4日後の筆記試験合格発表にて自分の番号を発見し狂喜乱舞。面接が地惑の筆記試験の前日だったこともあり、あまり対策に時間は割けませんでしたが、小論文の見直しと卒論の内容の確認を少しだけやって面接に臨みました。研究室がばれるので内容は詳しく書けませんが、筆記試験に出ていた問題に関わる公式の理解についてや、専門分野に関しての口頭試問が行われ、無事爆死しました。かなりテンパっていたことで、普段なら当たり前に答えられる知識についても吹き飛んでしまい、詰みました。正直先生方にあきれられていたのではないかと思っています...。
合格発表
面接の2週間後の9月上旬に合格発表がありました。筆記と面接の出来からもうないものと思っていましたが、なぜか自分の番号を発見し大喜びしました。ちなみに各段階における合格者の推移はこんな感じでした。
書類選考:受験者83?→65?名合格
筆記試験:受験者65?→50?名合格
最終合格者:39名
正確に数を数えていたわけではないですが、掲示板の文字列の変化からして大体こんなもんだと思います。
得点開示
筆記半分ないんだが...。コロナ前の得点開示の形式によると専門300英語100だったようなので、私の場合TOEFL iBT 77/120 → 65/100に圧縮、専門120/300、計185/400であったと考えるのが妥当でしょう。あまりにも数物が悪いので恥ずかしいです。
あと驚きだったのは書類にそれなりのウエイトがあるということでしょうか。足きりぐらいだろうと提出前には思っていましたが、実際は書類選考不合格者がそれなりにいたりとか、配点が100点もあるとかで結構重要です。
なんだかんだ合計を計算すると329/600(約55%)ということで、一般的な院試の最低ラインぐらいには達していたということでしょうか。
まとめ
結構勉強したつもりだったのですが、不甲斐ない結果となってしまいました。先輩のお話やネットの情報を見た感じ、研究室によって難易度が大きく変わる専攻のようなので、たまたま志望研究室には私より点数が高い受験者が少なかったことに救われたのだと思います。情報系など人気の研究室を志望する方はこれでは合格は厳しいと思うのでもっと勉強しましょう。